見つめるひと/恋月 ぴの
 
傷のあととか

なんだかふぅっと身軽になれて

あいかわらず通りすがりの男の人に彼の面影追い求めたりする
そんなわたし自身も可愛く思えてきた

そろそろ新しい恋のはじまりかな

でもね
彼以外の男の人とか

まだまだ踏ん切りなんてつかないけれど




あきらめてみる

たとえば生きることをあきらめてみる

すると生きる苦しさとか
死に切れないもどかしさとか

なんだかふぅっと身軽になれて

悲しくなるたびに死ぬことばかり考えてた
わたし自身がばからしく思えてしまう

それでも時には
死に切れなかったのは意気地なしだからとか思ってみたりして

旅にでも出てみようかな

見知らぬ土地で
見知らぬ誰かになれるのなら

ただただ秋の風に吹かれて
あきらめた先にあるもの見つめていたい




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