駅(夜)/はるな
 

駅のトイレで歯をみがいた。

わたしは害虫だった わたしにとっての。わたしはわたしを食い荒らしわるいものへとする害虫だった。わたしがわたしを喰らうためには−手っ取り早いのは男と寝ること。どうしてかはわからないけれどわたしの身体はそれで確実に摩耗し擦り減っていく。ざらざらと肌を擦り。擦り、擦り 擦り 擦り。
血を飲んだ。腕を切り開いて。絞るように丁寧にいれた切り込み、すぐにキレの悪くなる刃。血を飲んだ。生温く赤い血を飲ん飲ん飲飲んだ。べつに何にもならない。
わたしを食い荒らしたかった。どこかへ行ってしまいたかった。欲しかった。わたしが欲しかった。他人としてのわたしが欲しかった、欲しかった
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