野良猫あるいはルンペン(全)/……とある蛙
 
く)
一頻り(ヒトしきり)の騒ぎの後突然


この母猫は子猫を二匹以上育てるのは
うまくない
それこそ大変だ

母猫は意を決して
岬を下る
子猫のうち一匹だけを咥えて




そいつは僕の眼をじっと見つめ
/媚を売るでも無く
/何か一言言って僕の歩く先を
先回りしてしっぽを立ててステップを踏む
/石畳の路地は濡れて光っており
/黄色く彩色された建物の壁面に囲まれ、
路地は少し進行方向に傾斜した坂道
/港に向かって下りて行く
/突然開ける視界の明るさ
眩い光のシャワーの中
/朝の港に接岸する
漁猟から帰投の漁船数隻
/頭上を舞う鴉数十羽
/僕
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