石が落ちてくるように/夜雨
 
 最期の夜、廃墟は夜空に繋がっている
 かつては森であった荒野を貫く
 高架の瓦礫の向こうへ
 私は痩せた狼のように背筋を伸ばし
 吼える
 石が落ちてくるように

 やがて踞る朝が
 私を迎えるだろう
 落ちて来た石が
 通り抜けていく透明な箱のように

 箱に隠された小さな部屋に
 広がる波紋を抑える
 大きく冷たい掌のように

 けれど抑えきれぬ波紋を前に
 震える唇を噛み締める
 青ざめた子どものように

 そして胸に手を当て
 朝明の空を見上げ
 立ち上がる時

 荒野に星が沈む
 石が落ちてくるように
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