嵐の夜を真似て交わる/あまね
 
海になる体へ雷の槍をふらせる
うねる波の頭の
ひとつひとつへと
国産みの神を模倣して
空になる体は
すみやかに 確固とした
愛の執行を撃ちつける

脊髄どうしがリンクして
ナルシスを交換するとき
この体を作り上げてきた
痛みと喜びの
総量を注ぐ
産まれてからの呼吸の数
拍動の数
歩みの数

とめどない奔流を吸いこむとき
歌に似て細く高く響く音
火花がすべての色を経て
やがて混沌へと飽和するころ
届く頂点に生まれた原石を
力の限り握りしめたい

古の神々の営みを
正しくなぞりあげて
空になる体と海になる体は
最果てまでを照らす
気高い星をつくる

戻る   Point(11)