少なからず、/千波 一也
少なからず、
迷いはあったから
今もまったく
そうだから
なるべく
人にはやさしくありたい、と
やさしくされたい
言葉はきょうも
眠る時間です
少なからず、
痛い思いは味わったから
おんなじ思いは
たくさんだから
傷つきかけた誰かのことを
守らなくては、と
構えています
まるで
新たな傷口を
まだかまだか、と
待つように
少なからず、
好意はあったから
結んでもいない約束に
うかれていたのは
事実です
それとまったく同等に
裏切られたのも
事実です
でも、
だれにも同意を
得られないわけでもないから
わたしのような正直者は
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