老い ー言葉など/……とある蛙
次第に人との距離を感じ
次第に人との言葉が減り、
次第に人と会う機会が減り
言葉は外で無く内に向けられ
言葉は形が無く反芻できず
言葉は脳髄の中で霧散し
色は次第に発色しなくなり
色は次第に鈍色にくすみ
ついには色はモノクロとなり
文字は自分の眼にだけ映る形象となり
文字は宙空に浮かぶ大きな埃になり
ついには文字は無意味な記号の羅列となって
拡散する
拡散する
拡散する
つまるところ
庇護者のいない
乳児に回帰する。
無限定で射程距離の無い言葉の羅列に躍らされ
結局言葉はパフォーマンス
発語無しの言葉は
理解できない意味が無限定の記号でしかない。。
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