なわとび無限地獄/花形新次
お嬢さんは入らない
永遠に入らない
けれど僕らは
いつまでも
なわを持った腕を
まわし続ける
四十肩の痛みを堪えて
ひたすらまわし続ける
声を嗄らして叫び続ける
「お嬢さん、お入んなさい!
お嬢さん、お入んなさい!」
それでも
お嬢さんは入らない
ときおりフェイント気味に
足を踏み出す真似をする
僕らが「いよいよか」と身構えると
途端に力を抜いて
僕らを馬鹿にしたように
指さしながらクスッと笑う
そしてその場で
軽やかにバレエを踊って見せたりもする
いつ終わるとも知れない
無限の繰り返し
無限の、繰り返し
僕にだって
我慢の限界ってものが
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