風見鶏/斎藤旧
 
しんしんと
たんぼに脳がふる
そそぎこまれた脳を
稲は根っこから吸い込んで
のびやかに育つ

私は脳をたべる
雪見大福と一緒に
稲穂の一粒が
まじったそれを

脳は何でも知っていた
パラベンの功績
あやとりの難しい技

風見鶏の項を開いて脳は俯いた
またまそこに何もなかった

脳は旅にでた
私を連れたままで
風見鶏を知ること
それが脳の使命になった

ながいながい電車の旅と
一眠りに合わせて
私はたどり着くのか
風見鶏の項にふさわしい何か

延々と続く道のりを
私は歩く
歩き続ける

小高い山の上で
私は額に手をかざす
風見鶏を探
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