光の棺/草野春心
 
から中空に放たれ、顔の
  無い男が鏡を撃つ……自らを撃つ。
  傾いた青空の下で、犬の瞳が少年をとら
  える。犬の瞳が少年を映し、少年の瞳が
  遺体を映し……発火点を忘れられた炎の
  奥で、暗闇がそっと濁る。苛みは少年の
  肉体を内側から押し広げ、彼は永遠へと
  苛まれてゆく……一つの風が、もう一つ
  の風へと姿を変え、すぐに還ってくる。
  ……光の
  無数の粒子は
  きみを蔑み
  きみを脅かし
  犬の瞳が
  少年をとらえ
  彼は
  その部分にだけ
  多くの土をかぶせる}




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