彼岸花/御笠川マコト
あなたのお墓が山の上だから
息がきれてしまう
ちょっとご無沙汰していました
ほら、こんな所に
空中に割れる彼岸花
男でも女でもなく
オモイデを守っている
見下ろせば海の中道
私たちが出会う前から
波が砂州を洗っていたのでしょう
空中に割れる彼岸花
男でも女でもなく
オモイデを守っている
向こうのお墓から私にお辞儀する
短いスカートの娘さんとお母さん
胸のどこかで ちりりんと
風鈴が鳴りました
近頃の嘘も
妬みも
焦りも
細い煙が白い灰と一緒に
隠してくれる気がして
空中に割れる彼岸花
私は、
もう少し生きてみていいですか
空中に割れる彼岸花
男でも女でもなく
オモイデを守っている
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