秋幻燈/salco
堂の小母さんは
わたしが画用紙を買はうと
抽斗を持つといやな顔をします
わたしがかわたの児で
汚いなりをしてゐるのですから
ぬしはお八ツ貰へぬみそつかす
青ばな垂らして指くはへてゐる番
まま子は決つて隠れんぼの鬼
いつも一人ボツチと決つてゐるろ
朱塗り鳥居の向う
水子祠の向うは夕陽の世界
そこは何ひとつ明けぬ代り
何ひとつ暮れることがない。
念仏寺のお坊さまがお教へくださりました
けれどお母さんを苛むこびとの義父が
たゞれ目据へてわたしに通せんぼする
帰られない
だからついて行つたのでした
賑い掛け声 鉦打ち鳴らし
かがよう印半纏を頼み
影踏み影踏みついて行き
お祭り終わると知らぬ町
戻る 編 削 Point(6)