お片づけ/千波 一也
きみが
見送りつづけたあのバスを
撮ることなんて
出来なかったけど
きみが
待ちつづけた
あのバス停とベンチとを
ぼくは撮ったよ
現像なんかしないけど
捨てたりもしない
もう
なにも出来ない
※
窓の外には
枯葉がつもって
もう
そんな季節で
きみは
迎え入れがたい時間が
増えた、というから
ぼくは
秒針の音を
聞いている
※
泣き方に
手ほどきなんて
要らないけれど
細々灯れるものならば
教えを請うのも
わるくない
そう言ったきり
きみは
空の無言を
聞い
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