お片づけ/千波 一也
 


きみが
見送りつづけたあのバスを
撮ることなんて
出来なかったけど

きみが
待ちつづけた
あのバス停とベンチとを
ぼくは撮ったよ

現像なんかしないけど
捨てたりもしない

もう
なにも出来ない





窓の外には
枯葉がつもって

もう
そんな季節で

きみは
迎え入れがたい時間が
増えた、というから

ぼくは
秒針の音を
聞いている





泣き方に
手ほどきなんて
要らないけれど

細々灯れるものならば
教えを請うのも
わるくない

そう言ったきり
きみは

空の無言を
聞い
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