吸血姫とネクロフィリア/雅寛
握り締めた白い手が、少しだけ温まる。
僕は眠る事無く、君を見守り続ける。
そして、愛していると呟く。
その言葉は誰にも聴かれる事は無い。
古ぼけた時計が、塵を掃き出す。
僕は大量の薬を飲んで、不眠症の目を涸らす。
そして、夜は暮れていく。
日が昇る頃には君は灰に成る。
乾いた手首を、僕はそっと拭う。
僕は朝よりも明るい夜に、永遠の夢を見る。
そして、君と結ばれる。
君の長い爪で血塗れの指輪を僕の指に引く。
朝日が昇る……。
君の手が、砂に成る。
僕は、残された骨を抱き締めて、
君の手の、指先を噛む。
そして、白夜が僕等を包み込んで、
楽園の扉を開くような鐘の音が響き渡る……。
Bloody rain comming from dark heaven.
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