喪失へのコラージュ/草野春心
 


{引用=   精液が夜に喪い、形のようなものを、
  鮮やかさに押し込めるために、闇を乳白
  にしてゆく、スローに叩かれるエンター
  キー、ポットで黙るコーヒー、まだ幼い、
  少女の、幻影、甘美さの円形、立ち止ま
  ることを恐れ、月を指差し、自虐し、高
  らかに笑い、もう一度叩かれるエンター
  キー、凝固する空白に、文字を刻んでは
  消し、嘲られる哲学に、それでも、一対
  の乳房は寄り添い、鳴く、鳴る、月の宿
  す欠落に頬を濡らす、夜に喪う、単なる、
  けして語られえぬ、清潔。

  *

   滞りさえない結晶、まっすぐに見つめ
  ら
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