パソコン/花キリン
 
しさを積み重ねるようにして咲くランプの芯の心細さ
群れてひっそりと咲いていた菜種畑
その油で七人家族が生活をしていた
私が生まれる少し前にやっと電気が通り
ラジオから見知らぬ人の声が流れてきた

貧しさと引き換えに手に入れたもの
まわりには長生きばかりが増えてきたが
奇声を発しながらやっと生きている

パソコンの世界では当たり前なのだろうが
野原を裸足で走り回ったものにとっては
理解しがたいことばかりだ

常軌とは逸するものだと
心の変換まで許可なく行われている
死んでいるのだという 
パソコンに取り込まれた自画像はすでになく
あまりにも多くの機能という香辛料に
麻痺という死に侵されているのだという

この頃はパソコンを筆の代わりにしている
罪のない幼子のような愛おしさで思考の一部を委ねている
ここまでが私のできる精一杯のパソコンへの想い
死んでまでパソコンに取り付かれるなんてごめん被りたい


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