雨音の旅路/つむ
浸水した夢を走る銀の列車
空洞の線路には星屑が降りつもり
ちいさな灯りの駅を次々に後方へ跳ね飛ばすたび
蔦草のからまる最深部へと
どこまでも潜り込んでゆく
顔の見えぬ乗客とふたり
異国のカードゲームに興じ
勝った 負けた どちらでもよい
手元のコインを引き寄せ奪われ脇によけ
宙に弾きあげてはくるくると回し
どこまで行かれるのですか?
わからない 雨が止むまでは
ふと話すのをやめて開いた小型の本から
一枚のしおりが滑り落ちる
どの頁を覚えておこうと思ったものか
もはや 思い出せず
次の停車駅は、
静かな車内放送はそこで止み
続きを待つ
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