宇宙(そら)へ/夜雨
 
    (展かれた瞬間(とき)に)

 シャラノ木の真白い蕾に
 小さな夢を封じ込めたまま
 ふっくりとふくらんでゆく初夏の夕べに

 初めて水の入った田に
 蛙たちが恋の予感に震え
 唄声を響かせる
 遥かな宇宙(そら)へ

 さあ、旅立とう

 野良着を窓辺に脱ぎ捨てて
 触れ合う指先から
 生まれたばかりの風の中を

 遥かな、宇宙(そら)へ
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