友達をたくさん/はだいろ
なかで、
おじさんや、若者や、自分自身を映してみても、
みんな、さかのぼれば、
一個の精子だったのだと考えると、
お父さんやお母さんが、
その誕生を、
どんなに喜んだか、
いまはこんなにくたびれていても、
生まれる前はどこにいたとしても、
人間関係にがんじがらめになっていても、
もういちど、
おめでとう、と、ひとりひとりの手を取りたくなる。
モンゴルの自然から、
あと人類が数十年しか生き延びられないとしても、
ぼくは、
生まれてくる命に、やっぱり、
おめでとうと言いたい。
人類の終わりを、ぼくは見届けることができないかもしれない。
きみが、見ることになるのかもしれない。
だけど、
それを、止めることができるのも、きみなのかもしれない。
ぼくは、
ぼくの子供が、もし、できるとしたら。
男の子でも、女の子でもいい。
ぼくとは違い、
友達が、たくさんいる大人になってほしい。
友達を大切にしてほしい。
たったひとつだけ、そう願う。
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