流星たちの夜/千波 一也
あふれる涙に
区切りをつけて
流星たちは夜を曳く
きらきらと
こぼれ落ちずに
音も立てずに
空は、昔
夜風をながれる
木の葉のさわぎが
飛べない鳥を震わせる
重なる波の片隅の
翼に空を仰がせる
苦しまぎれの偽りは
静かに燃えて
契りの鱗は、夜の底
まもられたかった意味たちの
気泡とともに
とけていく
約束は
彩られたら、終わり
ことばを撒いて
つかの間の迎撃に
無声は垂れて
夜は分かれて
懐かしい海の濃紺が
持ち合わせるのは
鏡だけ
流星たちの
素顔がいつでも
のぞめるように
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