恋文/千波 一也
あなたに
似合う季節は
どれとは言いがたいので
あなたへおくる言葉はすべて
どうやらいまも
なりゆき
です
探しものは箱の中
箱という名に閉じこめられた
とても、やわらかな
形
顔なじみの風景が
ようやく広くなりましたので
淡い言葉もわるくない、と
思える紙片が
わたしです
きのうとあしたの
まんなかあたりで
よくわからずに
安堵して
すがるべきではないものを
ときに鍵と呼ぶ
日々のすべてが
かけがえのないものならば
どんな痛みも
どんな眠りも
どんな翳りも
どんな恨みも
はたから見れば
わたしもあなたも
思うほどには
意味をなさない
物語です
とがらぬ言葉で
角のない言葉で
互いの輪郭のなさを
あらわに記しあって
そろそろ、
祝福しませんか
機をのがさぬことは
大事な大事なつとめですから
ね
ぴたり、と
揃いませんか
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