すいか/
Hiiragi Yuu
向こうから
すいかの香りがやってきて
私の横をかすめていった
甘やかな夏
やたら光らかす蒼天
に
降参する
陽炎
まとわりつく
それにも
気持ちの不愉快さにも
負ける
だだ吸って吐いた
かろやかに漕ぐ時
ぼんやりして
ひるの
こびりついた陽炎
投げ出したままの脚
落ちない瞼
涼し気で暗い
思わず体に力が入って…
向こうからやってくる
すいかの香りは
耳をかすめて
思い出した
あの時の
襟足からサヨナラ
襟足からサヨナラ
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