悲雨/三之森寛容
雨は止め処無く
世界に降り注ぐ
重く冷たい
腕に弾け
流れる
この一滴
街を行き交う
人々は御を着飾り
傘をさして
雨を避ける
濡れたくはない
濡らされたくはない
それを知っているから
繰り返される
日常の一片で
人々はこの一滴が
何処から来たのか
関心があっても
この大きさも
その重さも
あの温もりも
知らない
ほら
またあそこに
雨が降り注ぐ
あの一滴が
その一滴が
この一滴が
大河に成る日は
何時だろうか
雨は止め処無く
世界に降り注ぐ
重く冷たい
頬を伝う
この一滴は
大河の一滴に
成るのでしょうか
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