秋の夕日。/そよ風
駅を降りると夕日がとても綺麗だった。東京の端っこにある駅の、橋からみえる夕日だ。
いつか忘れたけど
ある日の、君を思い出した。
君は目を潤ませて
『とても綺麗だね。』って後ろから抱きしめてくれた。懐かしいような優しいピンク色の夕日を眺めてたあの日の事だ。
その日は、涙の意味がわからなかったけど、今思えば君は未来がみえていたのかもしれない。
何気ない日常は
とても美しくはかないものだ。
私は気付くのが遅過ぎて、
君は未来を読み過ぎたのかもしれない。
すれ違ったら、もう会えないのだろう。
魂がすれ違って、お互いに回転を始めたら、もう交わる点はないだろう。
そして他人になっていく。
ゆっくりとゆっくりと加速して、回転するたびに記憶はうすれていく。
いつか、お互いにお互いのことを忘れてしまうだろう。
秋の夕日がいくら綺麗でも、忘れてしまうだろう。
そうしたら、あの日の二人はどこにいくのだろうか。
夕日と一緒になるのだろう。
いつかの夕日になるだろう。
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