うみへ/
アラガイs
おとこになりたかった朝
帆は灼熱の陽を浴びて地平をあとにする
浚われる嵐のなか
深い足元の
秘密の入り口を手繰り寄せながら
画の空を目指す
幾千もの夢を乗せて
引き寄せる波の間に間に陽は還り
いつしかきらめく月のしずく
思いつめた白いゆびさきが漂う水面
蝶は闇にまぎれて
瑠璃色へと姿を変えた
おんなになれなかったその夜
濡れた砂に描く残照
戻らないあしおと 。
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