手紙/花キリン
 

長いご無沙汰でした
白い空白に一筆を付け加えました

青空が何もなかったように通り過ぎて行きます
なんとも清々しい朝です

昨日から考えに考えて
しぼり出した一言ですが微妙にバランスに欠けています

それでも赤いポストの奥底に届く音を
確認することができました

懐かしい音の香りです
起点となるものは
いつの時にも荒れ果てていて気弱なものです

その先に広がる時間を想像しながら
心の片隅にある縁側で誰を待てばいいのでしょうか

長いご無沙汰でした
はがきの片隅に一筆ならぬ一言を付け加えました

それだけで待つ気持ちになれるから不思議なものです
ぽとりと耳もとに残っている奥底に残る深い音

少し背中が丸みを帯びてきました
髪の白さに過ぎてきた時間が重なります

このようにして重いものを幾つか抱きかかえてきました
終結とは終わりではありません

また新しい出発だと
青空が笑いかけてきます


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