手紙/花キリン
長いご無沙汰でした
白い空白に一筆を付け加えました
青空が何もなかったように通り過ぎて行きます
なんとも清々しい朝です
昨日から考えに考えて
しぼり出した一言ですが微妙にバランスに欠けています
それでも赤いポストの奥底に届く音を
確認することができました
懐かしい音の香りです
起点となるものは
いつの時にも荒れ果てていて気弱なものです
その先に広がる時間を想像しながら
心の片隅にある縁側で誰を待てばいいのでしょうか
長いご無沙汰でした
はがきの片隅に一筆ならぬ一言を付け加えました
それだけで待つ気持ちになれるから不思議なものです
ぽとりと耳もとに残っている奥底に残る深い音
少し背中が丸みを帯びてきました
髪の白さに過ぎてきた時間が重なります
このようにして重いものを幾つか抱きかかえてきました
終結とは終わりではありません
また新しい出発だと
青空が笑いかけてきます
戻る 編 削 Point(4)