◆雲のまにまに/千波 一也
わがままな迷子のためのひつじ雲
お日さま連れてあしたもおいで
迷いのない軌跡を示せ飛行機雲
だれのものでも、いつのものでも
先端の爪にひそかに願いごと
積乱雲の背中にかくれて
暗雲がたちこめました今朝もまた
空にはこころが筒抜けなのです
焼け落ちるダイアみたいにうろこ雲
水面づたいに夕焼けていく
絹雲の立ち振る舞いは圧巻です
あおぐ瞳はみなエキストラ
雨雲のふりした言葉を追いはらえ
まがいのしずくに欺かれるな
その海も厳しいですか鰯雲
いつかちぎれるつかの間の魚影
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