メロンアイランド/乾 加津也
この点においてのみ島民の思想は一致している
この島では古代メロン語を母語とし、咽頭と鼻腔を巧に連動させる類まれな発語を特徴としている
ジェスチャーはない(見ても理解されない)
ここではどこにいても、穏やかで雄大な「ひたすら」を味わうことができる、それはたぶん迷いが存在しないせいだと思われる、ここで生まれた者たちは、銃身を流れるノースメロン川がただひたすら海抜をめざし、自らに内在する器を知らず、探そうともせず(探す理由がなく)、たゆまず水色の分子を組みあげることを学習する
海流が変わり季節風がやってくるとこの島は成熟を思い出す、政治を始めたくなるのだ、それでもはじめは党閥組成から
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