月と不死/春日線香
 
目を瞑り月の女の名を呼ばう 指に安らう蛾のやわらかさ

梟の灯りを頼りに船は進む 翼は煙 心は砂糖

銀の盆 兎が行き来するたびに紫色の林檎が落ちる

不死の父を時計の中に閉じこめて蠢く鍵を水に沈める

蒼白の月の光で生きたまま燃やした手紙は月に昇る
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