浜辺へのコラージュ/草野春心
 
は十四歳
  だったが、ヒトラーは没していた。指揮者はいつ
  までもタクトを振っていた。テーブルの上の灰皿
  はいつまでも灰皿で、しかし隙をみてはポエジー
  への転生をはかっていた、伯母談。ひどく暑い。



   執拗な円環。下卑た大学生の下卑た歯の色。老
  人は何ひとつ信じない。青いのは空と、海と、そ
  れから鏡。青くないものを彼は信じない。マイク
  ロソフト社やプラスチックやニーチェや枝きり鋏
  のことを。彼は死にたいと思っている。誰もが。}




[グループ]
戻る   Point(2)