ホイミ/村上 和
 
私は無力です。
私は無意味です。
私は透明で空っぽです。
まるで生きていないみたいに。

― みんな、似たようなもんさ。





『ホイミ』






休日の昼下がり
知らない人たちが行き交い
暮らし営む
ささやかな街を歩く

私は風に
小さな呪文を唱えてみる

吹き抜けるその風は
きっとそんなたわいない声や
花の息吹なんかをどこかに届けているのだろう

このどこにでもありそうな街角が
まだ生まれていない君の
まだ生まれていない誰かとの
出逢いの場所になればいい






風が
君の透明で空っぽな身体を

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