希望/梅昆布茶
 
かつて家庭をこわしたおやじは

ほころんだ心の縫い目を
なでさすっては

ときどき
遠い眼をして
なにかを
覗き込んでいた

それは断罪という
自傷行為だったかもしれないし

あるいは彼なりの
レクイエムのかたちなのかもしれない

希望というタイトルのマップは
自らが用意せねばなるまい

雨が降ろうと風が吹こうと
おまえはお前のまま歩き続けねばならない

次なる駅のホームが
見えるまで

そこにおなじ
ことばの温もりを
もった誰かが

駅弁を買って待っててくれて

そしていそいそと
次なる温泉旅行へと
旅立つのだ

遠い眼のままで
ちょっぴり微笑んで

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