ママチャリで横浜まで/天野茂典
もう
だんだん下半身が重くなる
分厚いゴムで引っ張れるようだ
こんなことじゃあ横浜埠頭まで行って
外国船が見られない
少年は金もドリンクもタオルさえ持っていなかった
ひまわりに追いつけ
ひまわりより背が高くなれ
西洋人はひまわりより背が高い*からだ
真夏の太陽は少年を野望にかりたてる
4時間ぐらいで港に着いた
海は新鮮だった 外国船も停泊していた
少年の夢はかなえられたのだ
海の匂いが鼻の奥までポプリのように匂った
少年はこのまま 外国船にまぎれて出港し
まだみぬよその国へゆきたかった
カモメがひくく飛
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