黄色の想い出/……とある蛙
 
夏の陽射しの中

曲がりくねった道を
君と一緒に歩いていると
丘一面に黄色い向日葵

僕はスケッチブックとクレヨンを取り出し
道の傍らに座り込んで
丘一面の黄色い向日葵をスケッチブックに移し始めた

君は僕の手元をのぞき込み
怪訝そうな表情を浮かべる
僕が持っているのは青色のクレヨンで
スケッチブックの画面一杯に
青色を塗り始めたからだ

君は気づかない
丘の先は青空で
空一杯の夏の青空で
丘一面の向日葵の花より
黄色よりずっと大きいことに
青空の下 一面の黄色い丘
向日葵の丘

画面の下部
丘に向かっている曲がりくねった道の傍らに
自転車を腕で転がしている君が
スケッチブックを抱えた僕が
麦藁帽子をかぶった二人が
ゆったりと歩いている

夏の陽射しの中を
戻る   Point(9)