悪所/
春日線香
いたるところで
青い火が燃えている
人を探しにきたのに
こんな悪所に迷いこんで
やっぱり座敷を
出なければよかった
険しい山道を足さぐりで進み
骨の橋を渡って
廃寺を通り過ぎる
火はいよいよ燃えて
前にも後ろにも
気づけば上下にもある
あの中で燃えているのは
鬼の目玉
いくつもの冷たい葡萄
ふらふら歩きの道行きを
焼かれながら見つめる
進む道はもう
ないというのに
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