擦れてゆく雲に託す/塩崎みあき
 
うっすらとした
指紋が残る
小さな
背徳ばかりで出来た
フォンダンの中から
青銅のさかなが跳ね上がる

冷気の中で始まってしまった
運動会
知らないプログラムを
延々と放送して
花飾りの入場ゲートの
紫のタスキをした
ランナーがいまにも走り出せる

そんな日
雲は擦れている

地平線辺りで
彼らの躍動の砂埃が
低くとどまっている

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