アオスジアゲハへの手紙/たちばなまこと
自転車で
スローダウンして
見上げた初秋の青空に
アオスジアゲハ
自然にまかせて舞おうとする
あなたのようだと思う
今朝気がついた秋は
褐色の落ち葉
乾いて道端に身を寄せ合って
人々は長袖の腕をまくり
やがて袖はおろされて
深い色が似合うようになる
蝶も夜は眠るのかしら
片手に調べものをしたまま
眠る宵が増え
友だちが
情報過多ね、と告げてくれる
枯れた喉に蜜を送る
母親に
考えてから口にしなさい、と
言われたことを思い出す
私の唇は寡黙
私の筆は饒舌
生まれ持った素材にとって
全ての循環がやさしくありますように
アオスジアゲハのような
あなたへ贈る
手紙
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