無病息災 生きている 小学編 3/Tシャツ
 
がて僕の意識がめちゃくちゃになって、天井がするする滑っていく、いつの間にかエレベーターの天井で、最後に見たのは大きな窓から見える空と、マスクをつけてエレベーターの中から手を振る両親だった。僕はどこにいくんだろう?でもとってもいい気持ちだから、もう少し寝ていようって思う。そのすぐ後で、僕の胸は開かれ、肋骨をはずされ、血管を人工心肺につながれ、僕の小さな心臓はみんなの前にむき出しになる。それから僕は死にかける。術後に原因不明に暴れだす。元気が有り余っていたのかな。胸の大きな傷が開き、腎臓肝臓の機能が急激に低下してようやく僕は大人しくなる。病状は最悪。危篤を通り越して重篤。いつ死んでもおかしくない。そんな意識不明の状態のまま一ヶ月が過ぎる。その間両親はどんな気持ちだったのだろうか?父親は病院の近くに小さな間取りのぼろアパートを借りて暮らしていた。父親は毎晩何を考えていたのかな?これ以上考えると涙が出そうになる。大人になった今でも、私には聞く勇気が出ない。そして僕が意識不明の間にあのおねえちゃんも手術をしていた。

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