ノート(夜漠)/木立 悟
 





夜の火を口に含んでうがいかな


非のかけらどこまでも否の非のかけら


凧いつつ揚げつづけているひとりかな


目も耳も氷の如く陰はなつ


ただ軽い死にかけている背を押せば


どこまでも偽の相手とにこやかに


ほんとうのほんとうの偽はおのれなり


捨ててゆけここは左目に早すぎる


串刺しの脇腹を燃す羽の水


閉ざす指あふれる指を握りゆく


見える羽見えぬ羽の日の坂おりる


こぼれても尽きても爆ぜても五七五














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