横たわる少女/
三条麗菜
ものを
誰かが隠すかのように
私たちはなぜ樹ではないのか
私たちはなぜ樹ではないのか
繰り返す疑問に歪んだ顔は
もう整うことが無く
鏡を見たところで記憶に残るのは
目鼻も輪郭も失った顔
体の中で育ってゆく
できかけの命を取りだして
地面に植えれば
それは人間ではなく
樹として育ってゆくのでは
ないでしょうか
横たわる少女は腹を押さえ
体液を滴らせながら
そう思ったのでした
東京国立近代美術館
「イケムラレイコ うつりゆくもの」鑑賞による
戻る
編
削
Point
(7)