夜と不眠/はるな
 
ていた



(6:14)

渇いて
さらさらになった
からだが軽くて
ないものみたいで

とおくで声が響いて
自分が
ないことに
気付く

百年おくれで
相槌をうつ


なにも
ないことの
喜びが
ある



(6:22)

朝にちかい
まよなか

死んだひとのことを
考える

みがるで
やさしくて

ひょい


いってしまった

よくはしらない
彼のこと

わたしが
男に抱かれるあいだ
涙を
海ほどながしたか

夕暮れ
青菜を刻むときに
絶望が
にじんだのか

ああ

忘れ物
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