対岸のひと/
恋月 ぴの
は、いつもながらのコマーシャルと
こんな私にもチャンネルを変える選択肢ぐらいは残されていて
一人称の悲しみはどこまでも一人称のままならば
僅かな同情さえ成し得ないもどかしかさと
第三者で居つづけられる安堵の狭間で
フェンス越しに見えたもの
植え込みの緑とアスファルトに整列した黄色い駐車区画
放物線を描けばあれにも届くのかと
水際に積み上げた石ころの頂へ問いかけてみる
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