気まずいア・イ・ツ/藤崎 褥
 
せ場所には見知らぬ他人が馴れ馴れしい顔で手を振って待っていてくれたりするのである。
 基本的には車などの狭い空間の中に見知らぬ他人が居るというだけでも気まずいのだが、男はこうした人物と適度な関係を築かなければならないのだ。

 例えば僕が黙りこくって、彼女と友人の二人で喋るようなシチュエーションにしたとする。すると友人は「あの子の彼氏、なんか黙ってて暗かった。ホント、気まずかったぁ」等と、彼女の友人の友人辺りに報告するのである。
 そして更には彼女から「ちょっとくらい喋ってよ、気まずいなぁ、本当」と、明らかに一番気まずく孤独な思いをした僕が気まずいという言葉を浴びせかけられる羽目に合ってし
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