童謡/伊月りさ
あなたは しなないのかもしれない
七歳の娘のゆびは
黙々とマフラーをあみ
あなたのうたを追いかけた
どこまでも 思いのままに書きとめることは
はばかられる大人になりましたが
内蔵が発熱し
だきしめたい/だきしめられたい
瞬間をのこす すべを
あなたが教えてくれたので
つくり笑いもつらくない
あなたは今日も うたっている
半世紀以上まえのうたごえも
つくりたての声帯から ほとばしりつづけ
わたしたちのなかで ねむりつづけ
わたしたちは うたいつづける
あなたは いきつづける
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