かごめかごめ/マチムラ
ちいさい秋見つけたの輪唱は
町の裏路地を通り抜け
いつしか夕日ばかりの
河原の土手へと
手をつないで駆けてゆく
そんな幼い日の幻影が
電信柱の後ろから
にっこりと顔をのぞかせ
むかし聞いた人攫いの噂のような
もの哀しさと
死にゆく夏の断末魔の
燃えるような激しさで
秋は迫りくる
ぐうんと闇へと続いてゆく
住宅街の歩道で
誰かに呼び止められた気がして
後ろを振り返れば
うらさびしい背中に
きれかけの街灯が
ぽつりぽつりと話しかける
「後ろの正面だあれ」
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