秋の夜長/桜 葉一
 
まうえのまんまるは
おちてきそうなほどおおきい

君は
つきよりもほほえんで
つきよりもないて
つきよりもかなしんで
つきよりもたのしんでいる

まうえのまんまるは
ぴかぴかとうつくしい

君は
よるよりもおおきくて
よるよりもふかくて
よるよりもさびしくて
よるよりもいとおしい

まうえのまんまるは
よだれがでるほどおいしそう

君は
たけをきってあつめて
おおきなはしごをつくって
つきにたてかけて
でものぼらない
君は
つきをながめながら
もちをたべる
僕は
きみをみつめながら
おちゃをすする
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