あのときこそがきっと本当に夏だったのだ/ホロウ・シカエルボク
 
皮膚に淡い傷をつける
雨がひどくなると予報が出ている
雨の音に中に
沢山の羽音を聞く
ほら
おだやかな夏の怨霊たち
いつも彼らを呼び起こすのは
いったい誰なんだろう
沢山の死体の中で
アイスクリームをなめていた
幼なじみをその川に落としたら
どうなるだろうと何度か
考えたことがあった
大人になれたのは
きっと
奇跡みたいなものだったのだ





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