『三面鏡』哀歌/千月 話子
う
あやふや
降り止まぬなら消してしまおうと
ほの温かい息を吹きかけ
袖口でこする 広がる 靄
増大して映る顔 どこにも居ない
やがて 近づかない 近づけない
開いて 距離 薄布の向こう側へ・・・
もうそこに 映る事無く 古道具屋に
売られて行くの 三面鏡
閉じる前に 開いた空は 『明け方』で
後ろ向きに見た 金色が
広がって 広がって 一杯になって
弾かれた 光り 「さよなら。」
ああ、、、合わせられた昨日と今日の
『しののめ』が古い写真を見るように
遠い色 静かに変色して行くようです
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