羽根をつなげて夜を飛べ/竜門勇気
帽子の中で支離滅裂が泳ぐ
今日は誰を裏切るんだろうか
それをいつ気づくんだ
言葉はいくらでも湧いて出る
眼鏡の大部分はシースルー
気軽な発見でルールは厳密に
声は輪郭だけで来る
どこでもいつまでも似ている
犬はまだ回ってる
二匹でまわってる
子供を探してるんだ
そうとわかっていて探しているんだ
重くて不完全な夜は
思考がやせ細る
遠くで腐った水が聞こえる
同時で不確かで
口から出る言葉が一定の時間を置いて矛盾する
絶望の殻の内側で
人からもらう言葉で育って枯れる
あの季節を前にしてまた夜は長くなる
この季節を境にしてまた夜は敵になる
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